多様性、社会の活力、 「障がいのある人の就労」は成熟した社会へのキーワードです…

NPO法人日本就労支援センター Natural Support ナチュラルサポート

障がい者就労について

1.就労支援について

キャリアカウンセリング、職業ガイダンス、ジョブコーチ支援、そして企業の合理的配慮によりたくさんの障がいのある人が労働分野で活躍することが可能です。

欧米では一般労働市場で支援を受けながら働くことが一般的となっています。さらに雇う側の合理的配慮についても取り決めを行っています。日本でも近年、「就労支援」がキーワードとなって関心を集めています。これには以下の4つの背景が上げられます。

就労支援・ジョブコーチ
  1. ノーマライゼーション(世界共通の障害者福祉の理念)
  2. ILO(国際労働機関)による障害者に対する機会と処遇の平等
  3. 法令遵守(障害者雇用促進法、官庁2.3%、民間企業2.0%)
  4. 福祉分野から雇用へ(社会保障費の縮小)

我が国の障害者雇用は1955年のILO(International Labour Organization )における職業リハビリテーション勧告の採択(第99号勧告)が契機となり障害者の雇用機会確保の政策がスタートすることになります。身体障害者からはじまった障害者雇用は、その後、知的障害、精神障害と雇用の対象は広がっています。また、障害者自立支援法(2006年)でも企業への就労支援が示されています。様々な雇用促進の制度や先進企業の取組などもあり、平成27年の雇用障害者数は45万3,133.5人、実雇用率1.88%と、いずれも過去最高となっています。しかしながら法定雇用率2.0%には未だ達しておらず、半数以上の企業が法定雇用率を満たしていません。


就労支援は障害のある人のキャリアの支援であり、自分の特性を生かして能動的に社会と関る(仕事する)。そこには、情緒の安定、成長、自己実現、満足がもたらされることになります。具体的には、職業ガイダンスと丁寧なキャリアカウンセリングやインターンシップ、そして援助付きの就職活動と定着までのサポートが連続して提供されるしくみだと言えます。
また、定着後は障がいの特性に配慮したワークキャリア、生活や余暇など「生活の質」が支援のポイントとなります。

就労支援は、ICFの生活機能障害の「参加」部分への支援であり、様々な社会の分野と関わりながら進めていく、もっともダイナミックな活動でもあります。また、就労へのプロセスを通して本人や家族、周囲が変わっていくことに立ち会えることは、支援者としての大きな喜びでもあります。ひとり一人に社会的な役割があることは本当に大切なことで、就労支援はそれらを実現するための地域のしくみづくりといえます。


欧米では保護雇用制度の限界(一般から隔離されているという批判)が議論され援助付き雇用へとその主流は移行しています。日本でも近年、「ノーマライゼーション」の理念と「国連障害者権利条約」のもとで障がいのある人の就労が大きなテーマとなっています。特別に配慮された場所で集団で活動するよりも、ひとり一人がその人らしい仕事を「支援を受けながら働く」ことが可能な社会を目指しています。


企業活動は、ひとり一人の労働から付加価値を生み出す仕組といえます。福祉的就労に比べ設備や技術・専門家の揃った環境が、障害者の労働価値を最大限に高めることが可能です。また、「働くこと」の意味として

  1. 生活をするため(所得)
  2. やりがいや生きがい(自己実現)
  3. 社会に役立つ(社会参加)

がありますが、いずれも福祉的就労よりも多くを得ることができるのではないでしょうか。
さらに就労支援とは、地域での新しい価値づくりの取り組みと、そのしくみづくりだと考えます。支援を通して本人・事業者のエンパワメントを引き出すとともに、一人ひとりの生活者を支える地域のエンパワメントを引き出していく活動だといえます。

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